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後期高齢者医療制度と介護の将来

後期高齢者医療制度の自己負担は1割から2割に

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1割負担から2割負担に

高齢化が進むにつれて医療費は大きく膨らみ、健保財政を圧迫し続けています。これにより高齢者の自己負担額を1割から2割に増すことが議論されています。しかし、世論の反応は大きく分かれています。

           1割負担から2割負担に

現役世代の負担をさらに重くしている

団塊世代が75歳になりはじめる時期が近づいていることから、「一定所得以上がある人の医療費の窓口負担額を2割に引き上げる」という案が浮上しています。75歳になると加入する後期高齢者医療制度では加入者の窓口負担額は原則1割です。後期高齢者医療制度の財源は公費が5割で加入者の自己負担が1割、残りの4割が現役世代が負担する保険料「後期高齢者支援金」です。現役並みの所得を得ている場合は3割負担となりますが、全体のわずか7%ほどと少なく、ほとんどの後期高齢者が1割負担となっているのが現状です。このままの状態が続けば、後期高齢者の数が増えれば増えるほど現役世代の負担が重くなっていきます。

高齢者自己負担についての5つの案

高齢者の医療費自己負担分を2割に引き上げる取り組みでは、対象者の所得水準について5つの案が提示されています。5つの案の中には、介護保険の2割負担と同じく後期高齢者の中で所得が上位20%の人を対象とする案や、上位44%を対象とする案などが含まれています。どの案が選ばれるかは今後の議論によりますが、仮に所得が上位44%の後期高齢者を2割負担とした場合は、後期高齢者支援金は3,100億円から1,300億円まで抑制される計算になります。このまま制度改革を行わなければ、支援金の額が大きく膨れ上がることは避けられないでしょう。
この問題については、厚生労働省と財務省で意見が対立しています。厚生労働省は高齢者の自己負担額を抑えたいと考えており、財務省は高齢者の自己負担額を増やしたいと考えているからです。

世論もさまざま

健康保険組合連合会(健保連)は「低所得者へ配慮しながら原則2割負担」を主張し、受診控えを懸念している日本医師会は負担増に強く反発しています。世論に目を向けてみると、高齢者の窓口負担額を1割から2割に引き上げることについて、若年層では賛成意見が多く高齢者層の反対意見が多いという調査結果も出ています。ただし、現行制度に対する不安を感じている人は83%にのぼっており、医療保険サービスの水準維持のためには負担額の引き上げもやむを得ないと考えている人も67%と半数を超しています。
多くの人が改革の必要性を認識しつつも、自己負担増のあり方についての意見は分かれています。今後は資産額も含め、個人の経済力に応じた自己負担増のあり方についても考えていく必要があります。

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